画面を拡大すれば読める小さな文字も、名刺やタグを持つ人はピンチ操作で大きくできません。印刷後に「読もうと思えば読めます」は、可読性の合格としてかなり心細い言葉です。

文字サイズだけでなく、フォントの骨格、線の細さ、背景とのコントラスト、素材、印刷方式、見る距離が重なって読みやすさを決めます。

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画面は拡大して見てしまう

まず注意したいのは、デザイン作業中の画面表示です。IllustratorやPhotoshopでは、簡単に拡大表示できます。画面上で400%や800%に拡大して確認していると、小さい文字でもきれいに読めてしまいます。

しかし、実際の印刷物は拡大されません。幅30mmのタグは、実物でも幅30mmです。画面上で大きく見えている状態と、手に取って見る実物のサイズはまったく違います。小さい文字を使うときは、必ず実寸表示で確認することが大切です。できれば紙にプリントして、実際のサイズで読めるか確認するとさらに安心です。

実寸確認では、画面の100%表示だけに頼らず紙へ出します。ディスプレイの物理サイズや表示設定によって、100%でも実寸にならないことがあるためです。幅30mmのタグを30mmで切り、腕を伸ばした距離と手元の距離で読みます。指で拡大しようとしても、紙は反応しません。

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細いフォントはつぶれやすい

小さい文字では、フォント選びも重要です。細いフォント、装飾の多いフォント、線幅に強弱があるフォントは、小さく印刷したときに読みにくくなることがあります。

上品に見える細い明朝体や、個性的な筆記体は、画面では美しく見えます。しかし、数mmの小さなサイズになると、細い部分が飛んだり、文字同士がつながったりすることがあります。小さい文字には、シンプルで線が安定したフォントが向いています。欧文なら極端に細いウェイトを避け、日本語なら画数の多い漢字がつぶれないか確認する必要があります。

細いフォント、装飾的なフォント、読みやすいシンプルなフォントを小さいサイズで比較した図解
細いフォント、装飾的なフォント、読みやすいシンプルなフォントを小さいサイズで比較した図解

同じポイント数でも、字面、線の太さ、ふところで見え方は変わります。数字だけでなく候補書体を原寸で比較します。

文字サイズが同じでも、字面、線幅、カウンターの広さで読みやすさは変わります。「麗」「議」のように画数が多い文字、細い横線を持つ明朝体、狭い欧文は先につぶれます。実際に使う文字列で試し、ダミーのABCだけで合格にしません。

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インクや素材の影響

印刷では、データの線がそのまま完全に再現されるわけではありません。インクは紙や布の上にのるため、素材によって少しにじんだり、沈んだり、広がったりします。紙なら比較的細かい表現ができますが、布、リボン、粗い紙、凹凸のある素材では、細かい文字が再現しにくくなることがあります。

織りネームや刺繍のように、インクではなく糸で表現する加工では、さらに再現できる文字サイズに限界があります。同じデータでも、素材が変わると読みやすさが変わります。小さい文字を使う場合は、どの素材に出力するのかを考えてデザインする必要があります。

未塗工紙ではインクが広がり、濃色の布では下地の白版が文字の内側を狭めることがあります。織りネームでは糸の交差単位より細かな角を作れません。素材サンプルへ、候補の文字サイズとウェイトを数段階並べ、読める最小ではなく安定して量産できる段階を選びます。

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白抜き文字は特に注意

黒背景に白い文字を置く「白抜き文字」は、デザインとしては引き締まって見えます。しかし、小さいサイズでは注意が必要です。背景の色やインクが少し太ると、白い文字の空間が狭くなり、つぶれて見えることがあります。

特に細い白抜き文字は、印刷後に読みにくくなりやすいです。白抜きで小さい文字を使う場合は、少し太めのフォントにする、文字間を広げる、背景との余白を確保するなどの調整が必要です。

白抜き文字では、背景ベタの見当ずれやインクの太りを見込んで、通常の黒文字より太いウェイトと広い字間を使います。「白だから軽く見える」とさらに細くすると、印刷後は静かに消えます。小サイズでは、装飾より文字の内部空間を残すことを優先します。

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文字間と行間が狭すぎる

文字サイズだけでなく、文字間や行間も読みやすさに影響します。小さいスペースに情報を詰め込みすぎると、文字同士が近づきすぎて、印刷後に一体化して見えることがあります。

成分表示、注意書き、住所、URL、SNSアカウントなどを小さなタグやラベルに入れる場合は、情報量が多くなりがちです。すべてを入れようとして文字を小さくしすぎるより、内容を整理して、読みやすさを優先した方が仕上がりは良くなります。

小さい文字へ細いウェイトや低いコントラストを重ねると、条件の弱さが足し算ではなく掛け算で効きます。

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小さい文字を使うときのチェックポイント

小さい文字を使うときは、実寸表示で読めるか、フォントが細すぎないか、文字間や行間が詰まりすぎていないか、素材が細かい表現に向いているか、白抜き文字が背景につぶされないかを確認しましょう。画面の拡大表示だけで判断せず、可能であれば実寸プリントやサンプルで確認するのが理想です。

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まとめ

小さい文字が印刷でつぶれる原因は、文字サイズだけではありません。画面の拡大表示、フォントの線の細さ、素材、印刷方式、インクのにじみ、文字間や行間の詰まりなど、複数の要素が関係します。

デザイン上は小さい文字が美しく見えても、実物で読めなければ意味がありません。小さいタグやラベル、名刺、シールを作るときは、必ず実寸で確認し、必要に応じて文字を大きくする、太めのフォントを使う、余白を増やすなどの調整を行いましょう。読みやすさは、仕上がりの品質を大きく左右します。

入稿先の最小条件を守ったうえで、実際の利用者が読む距離と照明で確認します。製作用データ全体の確認にも戻します。

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